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労働実務Q&Aこれで解決!

成果主義と年功制

Q.

定昇など、年功による賃金制度を見直し、成果や業績による賃金制度、すなわち成果主義の賃金体系へ転換していくのが時代のすう勢でしょう。しかし、従業員が生活の不安を感じることなく、仕事に打ち込める環境を作り出すために設計されている年功制こそ復活すべきだ、という人もいます。賃金制度改革に思わずためらってしまうのですが…。

A.

日本の年功制は、いくつかの特殊な条件のもとでのみ成立し得た賃金制度です。経営とは「環境への適応」といわれるように、賃金・人事制度も環境変化に対応していかねばなりません。現在の厳しい経済環境で企業が生き残りを図ろうとすれば、「できる」従業員により報い、限られた原資を公正に配分していこうとする成果主義への転換は不可避と考えます。


◆年功賃金の特質とその成立条件

 年功賃金とは、年齢・勤続などの属人的要素を基準として賃金を決め、年功により上昇する賃金制度です。年齢という基準は誰にも分かりやすいという客観性をもっており、「いずれ上がる」という将来に希望を託せるという意味では、従業員に一定の安心感を与えることもできます。
 しかし、企業をとりまく環境と整合性を保ち、企業の存続・発展を図るために制度として維持できるかどうかは別問題です。とりわけ日本の年功賃金は、戦後の高度経済成長とともに生成してきた経緯をもっています。その時代の特殊事情を敷衍(ふえん)してみましょう。
 まずは次の3つです。若年労働者の豊富な存在(農村の過剰人口)と、日本経済全体が右肩上がりの経済成長を遂げたこと、さらには、当時の賃金水準が低かったこと、を特徴として挙げることができます。以上が経済。つぎに企業。企業の労務構成はピラミット型をしていたのです。人材はどうか。年功イコール熟練という図式が成り立っていました。つまり、安い賃金で若い労働者を雇用しながら、高い生産性と利益を確保し、ピラミッドの規模を大きくしながら企業を成長発展させることができたのです。年功制はピラミッドを維持するために、うまく機能しました。
 ところが、年功制を支えた諸条件は、今日ことごとく否定されています。特に企業の年齢構成が高齢化してくると、年功賃金では、賃金の伸び率が生産性の伸び率を上回って、企業を弱体化するよう作動します。企業の力量以上の人件費を発生させるシステムは、企業の足かせ以外の何ものでもないのです。


◆成果主義賃金・人事制度の概要

 成長の時代は、量的拡大を志向してきましたが、今日は厳しい「競争の時代」です。企業は必然的に「付加価値を追求」するようになります。そもそも企業が利益目標の実現をめざす組織である以上、従業員一人ひとりが役割を認識し、成果を上げるよう努めることは当然のことでもあります。「成果主義」は、この流れの中で理解する必要があるのです。
 成果主義の賃金・人事制度とは、組織への貢献度に応じて処遇を決めようとする制度です。つまり、従業員各人の期待役割の大きさをまず決め、それをどの程度達成したかを評価することにより、人事処遇を決定する制度です。
 多くの企業が導入しようとしている成果主義の賃金・人事制度は次のような特徴を備えています。まずは、経営理念や経営戦略と人事制度のリンケージ(連鎖)です。戦略達成に必要な人材像を明確にし、そのような人材育成を究極目的としています。業績や成果を上げた人により報いるのもそのためです。つぎに、限りある人件費を効率的にメリハリをつけて公正に配分し、適正な「労働分配率」を実現し、強靭な企業体質をつくることをめざしています。人をお金で動機づけようとする狭隘(きょうあい)な制度でないことだけは確かです。

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