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労働実務Q&Aこれで解決!

目標管理制度

Q.

当社は食品の製造および販売業を営んでおり、従業員は約70名おります。比較的順調に推移してきたところですが、ここ2年連続で売上、利益の年度別経営計画および数値目標が未達です。沈滞ムードを打破し業績向上のために目標管理の導入を考えています。中小企業でも目標管理は有効ですか。導入にあたって気をつける点をご教示下さい。

A.

経営計画や組織方針を効果的に実現するために、目標管理は最適な手法といえます。組織目標を部門や個人に落としこみ、経営情報を共有して全社的ベクトル合わせを行うことができるからです。中小企業においても広く普及しています。目標管理の原理と機能をよく理解し、導入目的に適ったタイプの制度設計をすることをおすすめします。


◆目標管理のダイナミズムと機能

 目標管理制度とは、目標を通じて個々人でマネジメントを行い、目標を達成しようとする経営手法です。中小企業でもその導入効果に注目が集まり、普及しています。従業員30~99人規模層で、44.7%の企業が導入しているのです(厚生労働省「平成14年雇用管理調査」)。
 目標管理は、仕事の進め方の基本である、計画(PRAN)・実行(DO)・検討(SEE)のマネジメントサイクルに、期初の目標設定、期末の達成度評価を重ね合わせ、これを循環させることにより運用します。
 目標管理の特質は、セルフコントロール可能な自律した人間像を前提とし、行動科学の観点から各ステップにやる気を生み出す源泉が制度化されていること。たとえば、「目標の共有と連鎖(P)」は、組織の一翼を担うという使命感を育み、「目標と手段の自己決定(D)」は、創造性を発揮させ、期末での「適正な評価(S)」は達成感を生じさせ更なる奮起を促す、というように。何より、「目標を紙に書き」、何度も読んで目標達成の「願望を心に強く抱く」ということが最大の秘訣。潜在意識という脳のメカニズムを活用して情報感度と気づき能力を高め、目標実現を加速してくれるからです。
 目標管理の経営サポート機能も見逃せません。まずは経営戦略実現機能(P)。ついでチャレンジ促進、業務改善、能力育成機能(D)。そして業績評価機能(S)。


◆組織風土改革型の目標管理制度

 目標管理は、導入目的を明確にすることが重要です。その目的に応じて、どの機能を優先させて設計すべきか内容が変わってくるからです。おたずねのような、企業が当面する経営課題に全社一丸となって取り組み、計画の達成を第一義に置くケースでは、目標管理のあらゆる機能を全開にすべきです。とりわけ組織目標と個人目標の連鎖を強め、個人の業績評価を人事評価にリンクさせ、処遇に反映させる必要があります。
 プロセスとしては、まず組織の目標を細分化、具体化して、トップから従業員一人ひとりにブレイクダウンし、個人の役割や責任を明確にする。上司と部下との面談により意思疎通を密にして、経営情報の共有化とベクトル合わせを行う。いわば組織風土(企業文化)の変革を通じて組織力の飛躍的な底上げを図ることをねらっていくべきです。
 目標管理の運用ツールとして、「目標管理・面談シート」を作成します。このシートには目標の構成要素を書き込むようにします。すなわち、1.何を(業績指標)、2.どのようにして(手段・方法)、3.どのレベルまで(達成水準)、4.いつまでに(期日)達成するか、です。「目標達成により得られる利益(避けられる不利益)」という項目を設けるのも、気が利いています。いずれにしても、管理者の戦略策定力とマネジメント能力が問われ、運用を通じて鍛えられていくことは間違いないようです。

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