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労働実務Q&Aこれで解決!

休日の振替え

Q.

当社は1日8時間労働、毎週土曜日と日曜日を所定休日とする週休2日制を採用しています。時おり、業務繁忙のため、従業員の一部を休日出勤させていますが、振替休日を与えれば、割増賃金を払う必要がない、と聞きました。賃金コスト節減の一環として、これを実施したいと考えていますが、正しく行うための条件や留意点等がありましたらご教示ください。

A.

休日の振替えを行うためには、就業規則に休日の振替えができる旨の規定を設け、振替実施日の前日までに、振替日を指定して労働者に通知しておくことが要件です。労基法との関連では、1週1日(または4週4日)の休日の原則に反しないこと。振替えの結果、ある週の労働時間が法定労働時間を超えるときは、時間外労働となり割増賃金の支払いが必要です。


◆休日振替えの要件

  業務の都合により、所定の休日にどうしても労働させざるを得ない場合が生じます。「休日の振替え」とは、このような時に、あらかじめ休日と定められた日を労働日とし、その代わり他の労働日を休日とすることをいいます。この場合、前に休日とされていた日が労働日となり、休日に労働させたことにはならないので、割増賃金を支払う必要はありません。
  ただし、振替えを有効に行うためには、①就業規則に、「業務上必要のあるときは、休日を他の日に振り替える事がある」旨の規定を定め、②振替え実施日の少なくとも前日までに、振替え日を指定のうえ、労働者に通知することが要件とされています(昭63.3.14基発第150号)。
  裁判例にも、就業規則上の休日振替規定に基づき労働者の労働義務が発生することを認め、「個々の振替の際に労働者の同意、了解がなくとも」休日振替えが違法、無効となるものではない、としたものがあります(横浜地判昭55.3.28)。
  気をつけなければならないのは、労基法の規制との関連です。まず1週1日または4週4日(変形休日制の場合)の休日という原則(35条)に反しないことです。使用者は、法定休日が確保されるように振替日を特定しなければなりません。
  また、同一週内に振替日を特定できない場合、結果として週40時間の法定労働時間を超えることになります。たとえば、土・日のいずれかの休日を、1週先の火曜日と振替えると、当該週の労働時間は48時間となります。これは時間外労働となりますので、36協定の締結・届出(36条)と割増賃金の支払い(37条)が必要です。
  1週間とは、たとえば「月曜日から日曜日」の7日間をいい、事業場の就業規則等で定めるところに従います。就業規則等に別段の定めがないときには、通常、「日曜日から土曜日」までの暦週であると解されています。


◆休日振替えと代休

  休日振替えと似たものに「代休」があります。これは、休日労働を行わせた場合に、その代償措置として、その後の特定の労働日の労働義務を免除するものです。休日の振替えは、一定の要件を満たしたうえで事前に休日が変更されるのに対し、代休は、現実に休日労働を行わせた後に、事後的にある日の労働義務を免除するもの。ある休日を労働日に変更しないまま労働させるものです。事後に代休を付与したとしても、休日労働が行われたという事実がなくなるわけではありません。したがって、割増賃金の支払いを要します。
  そもそも、代休を与えることは労基法上要求されてはおらず、使用者は就業規則等に特別の規定がないかぎり、代休を与えなくてもかまわないのです。代休を与えるとしても1週1日(または4週4日)の週休制の要件に、縛られることもありません。
  休日振替えと代休とは混同しないよう、注意する必要があります。

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