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労働実務Q&Aこれで解決!

雇用保険の失業給付

Q.

私たちが配属されている部門は大きな累積赤字を抱えています。会社の上層部はその存廃を検討しており、リストラ・解雇されるのではないかという噂も…。いっそのこと自分からオサラバしようかとも考えたりします。ただ雇用保険は、退職の理由によって給付内容が大きく異なるということも聞きます。失業給付のあらましを教えて下さい。

A.

かつては離職日における年齢と離職日までの勤続年数によって所定給付日数が定められていました。しかし厳しい雇用情勢の変化に対応するため、倒産・解雇等会社都合による失業者への給付を手厚くするように改められました。自己都合で退職した場合には、3ヵ月間支給がストップされますが、会社都合の場合にはそのような給付制限もありません。


◆失業給付の受給要件

 かつて失業保険と呼ばれていたものが、現在の雇用保険の失業給付です。失業給付の中心は「基本手当」です。基本手当を受給できる一般被保険者を「受給資格者」といいます。
 受給資格者とは、1.離職により被保険者の資格喪失の確認を受け、2.労働の意思および能力があるにもかかわらず就職できない状態にあり、3.離職の日以前1年間に被保険者期間が通算して6ヵ月(短時間労働被保険者は1年)以上あること、という3つの要件を満たした人のことをいいます。
 「被保険者期間」については、賃金支払いの基礎となった日数が14日(短時間労働被保険者は11日)以上ある月を1ヵ月としてカウントすることとなっています(雇用保険法第4条第3項、13条、14条)。
 基本手当を受給するためには、会社でもらった「離職票」をもって住所地の公共職業安定所に行き、まず受給資格の決定を受けます。その受給資格者が失業の状態にあったかどうかを判断する手続が失業の認定です。失業の認定は、4週間に1回決められた日に職業安定所に行き、直前の28日の各日の失業認定を受け、基本手当が支給されます。


◆退職理由によって異なる給付日数

 基本手当は、一定の日数分を限度として支給されます。この一定の日数を「所定給付日数」といいます。所定給付日数は、一般の離職者と特定受給資格者とで大きく異なります。「一般の離職者」とは、自己都合や定年退職などの理由で離職した人たちです。これに対し「特定受給資格者」とは、倒産・解雇、その他会社都合で退職に追いこまれた人たちのことをいいます。特定受給資格者の場合、再就職の準備をする時間的余裕もなく離職を余儀なくされたとみなされるために、所定給付日数が手厚くなっています。
 一般の離職者は、7日間の待機期間に加え、3ヵ月の給付制限(正当な理由がある場合は制限なし)がありますが、特定受給資格者には給付制限はありません。
 一般の被保険者(短時間労働被保険者も同じ)の所定給付日数は被保険者期間の長短だけが考慮され、90~150日となっています。
 一方、特定受給資格者の場合は、被保険者期間と退職時の年齢という2つの要素で、給付日数が決まります。「45歳以上60歳未満」の給付日数が最も手厚くなり、20年以上勤めていれば、330日の給付日数になります。ただ、受給期間は原則1年なので要注意です。
 基本手当の日額は、賃金日額をもとに決められます。「賃金日額」は、離職日前6ヵ月に支払われた賃金総額(賞与等を除く)を180で割って算出します。この金額に45~80%の給付率を掛けて基本手当日額が決まります。
 このように、退職理由等により給付日数や受給総額が異なりますので、注意が必要です。

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