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労働実務Q&Aこれで解決!

産前産後休業と育児休業

Q.

制服等の縫製および販売業を営んでおり、従業員は6人います。このたび女性事務員が出産のため産前産後の休業と子どもが1歳になるまでの育児休業を希望してきました。仕事が忙しいので、育児休業の申し出は拒否しようと思うのですが、できますか。産前産後休業や育児休業の支給条件とその内容、賃金保障の必要性の有無等についても教えて下さい。

A.

産前産後休業は労働基準法により、育児休業は育児・介護休業法により、中小企業にも義務づけられており、従業員の「権利」ですから、申し出を拒否することはできません。産前産後休業は、出産前6週間、出産後8週間。育児休業は、産後休業に引き続き、子どもが原則として1歳に達するまで請求できます。いずれの休業も無給でかまいません。


◆産前産後休業と育児時間

 使用者は、6週間(多胎妊娠の場合は14週間)以内に出産する予定の女性が休業を請求した場合、就業させてはなりません(労基法65条1項)。また、産後8週間を経過しない女性を就業させることもできません。ただし、産後6週間を経過した女性が自ら就労を請求し、医師が支障がないと認めた場合については、就業させることができます(同条2項)。
 産前産後の休業については、労基法は、年次有給休暇の場合と異なり有給と定めていませんので、無給であっても差し支えありません。
 ただし、健康保険の被保険者には、産前42日(多胎妊娠の場合は98日)、産後56日を限度として、休業期間1日につき標準報酬日額の60パーセントが出産手当金として支給されます(健保法50条2項)。
 1歳未満の子どもを育てる女性は、法定の休憩時間のほか、1日2回、それぞれ少なくとも30分の育児時間を請求することができます(労基法67条1項)。


◆育児休業

 産前産後の休業期間経過後は、育児休業制度があります。育児休業は、会社に籍を残したまま、一定期間仕事を離れて育児に専念し、一定期間が終了したら再び会社に復帰するという制度です。従業員の職業生活と家庭生活との両立を一層推進するために、2005年4月から、育児・介護休業法が一部改正されました。
 その一が、育児休業を申し出ることができる従業員の範囲の拡大です。従業員は男女を問わず(日々雇用される者を除く)、1歳未満の子(養子を含む)を養育するため、休業開始1ヵ月前までに申し出た場合に、子が1歳になるまでの育児休業をとることができます。かねて除外されていた期間雇用者のうち、一定範囲の者(1.継続雇用期間が1年以上あり、2.子どもが1歳に達する日を超えて雇用が継続することが見込まれる者)は、育児休業がとれるようになりました(法5条1項)。
 そのニは、育児期間の延長です。保育所に申し込んでいるが、入所できない等の特別の事情がある場合には、子どもが1歳半になるまで、育児休業を延長することができるようになったのです(法5条3項、育介則4条の2)。
 その三は、子どもの看護休暇の創設です。小学校就学前の子どもを養育する従業員は、1年間に5日を限度として、看護休暇を取得することができます(法16条の2)。
 育児休業期間中は、無給でかまいません。ただし、雇用保険の被保険者は、休業期間中に休業開始前賃金の30パーセント、職場復帰後10パーセントが、育児休業給付として支給されます(雇保法61条の4、61条の5)。なお、育児休業中の社会保険料は、申し出を条件に、被保険者分、事業主分とも免除されます。

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