人材育成の考え方
Q. 地元では老舗と呼ばれている総合卸売業を営んでいます。売上げや規模の割りに利益率は低水準で推移。同族会社の弊害かもしれませんが、会社の幹部は高齢化に加え、“指示待ち”人間ばかりで、社内に活気がありません。かねてより、若手の優秀な人材を育成しなければ、と悩んできました。人材育成にどういう考え方でのぞむべきか、ご教示ください。 |
A. 人材育成というと、とかくスキル(技術・技能)に目を向けがちですが、マインド(意識・心構え)も大事。わけても、従業員1人ひとりに経営者意識をもってもらうこと。そのためには、事業目的を理解し、正しいと納得することが前提。そこで初めて活力が生まれ、各人がそれぞれの部署で自分に何ができるかを考え、採算性向上意識も育まれていきます。 |
◆人材育成の目的
企業が社会に貢献しつつ、存続・発展していくためには、人材育成が不可欠です。“事業は人なり”といわれるように、企業の盛衰は、構成員である人の知恵や能力、熱意などの人的エネルギー如何にかかっているからです。松下幸之助さんは、この点について、「松下電器は人をつくっています」と表現しました。人材育成というテーマは、昔も今も変わらない永遠の命題なのです。
◆企業内教育の内容と方法
では、企業で何を育成すべきでしょうか。価値観、考え方、規範意識等のマインドと、職務知識・技術、職務遂行能力、就業意欲・態度等のスキルに分けることができます。京セラの創業者、稲盛和夫さんは、「人生・仕事の結果=考え方×熱意×能力」という成功方程式で、マインドの重要性に言及しています。
◆育成する側の資質 育成する側の資質を問わないわけにはいきません。従業員に聴く耳をもってもらわないと、教育自体が成り立たないからです。その条件はただ1つ、信頼されること。尊敬されれば、さらによし。仕事に精通していることはもちろん、人間的魅力を備え、人格者であることがリーダーとしての必須の条件です。自分が部下に望むことを率先垂範し、公平無私の心と態度が人を動かすのです。 |