HOME >これで解決!労働実務Q&A>人事処遇システム>職務グレード制度 サイトマップ
労働実務Q&Aこれで解決!

職務グレード制度

Q.

「能力主義」の旗印の下、職能給とその格付け制度としての職能資格制度を導入して、早や十数年が経過しました。現状はというと、中高年の高資格者が増え、人件費コストの増加に悩んでいます。また、若くて優秀な人材を抜擢することも困難で、社員のモラールにも影響を与えています。これらの課題を解決できる新しい賃金・人事制度を模索中です。

A.

能力主義の切り札として登場した職能資格制度。「年功制」を克服する人事制度として期待されながら、年功制が払拭されていないのが実情です。その最大の原因は、能力を保有能力と捉え、昇格運用を甘くしてきたところにあります。今、人を中心にした評価から、仕事・役割・貢献度を中心にした評価基準へ移行する企業が主流になってきました。


◆職能資格制度の限界

  職能資格制度にいう「職能」概念は、変遷をとげています。当初、「企業目的のために貢献する職務遂行能力であり、業績として顕現化されなければならない」と定義。ところが今日では、その多くが職能を保有能力や潜在能力と捉えるようになっています。
  しかし、保有能力の高さを評価測定することは非常に困難であり、職能等級の定義も抽象的であいまいな表現にならざるをえません。
  またかつて、能力は、「開発の可能性をもつとともに退歩のおそれも有」りと捉え、実に謙虚でした。にもかかわず今日では、一度身につけた能力は低下することはなく、したがって、降格もあり得ない、と言い切っています。
  その結果、年齢が上がり経験を積むにしたがって能力が向上するとみなさざるを得ず、昇格運用が年功に流れてしまったのです。右肩上がりの成長が停まった現在、働きと処遇のミスマッチが生じ、人件費を必要以上にふくらませる結果をもたらしました。さらには、中高年の賃金カットや人員削減というリストラにつながってしまったのです。


◆職務グレード制度の概要

  賃金制度の機軸を、「働く人の保有能力の高さ」から、「職務価値の高さと達成度」へシフトさせようというのが、職務・成果主義の考え方です。そのフレームワークとして最適なのが職務グレード制度です。
  職務グレード制度とは、職務の大きさや難易度を目安に3~4の職群(バンド)に階層化し、さらに階層の中を職務価値(ジョブサイズ)に応じていくつかのグレードに区分した処遇制度をいいます。
  外観上は職能資格制度に似ていますが、グレードの分類・設定が属人的な職務遂行能力の評価ではなく、客観的な職務価値に基づいている点で大きく異なっています。
  また、アメリカのジョブ・グレード制度に近似していますが、グレード数が少なく、職務レベルを大括りしている点が異なります。
  職務要件書や職務基準書の記述方法も、「~ができる」(可能性がある)から、「~をする」「~をしている」に変化しています。企業が求めている能力は、個別の会社が経営課題を遂行するために必要とする具体的能力。まさに「業績として顕現化された」能力であり、発揮能力や顕在能力に外なりません。
  発揮能力は変動します。昇格があれば、降格もあり得ることになります。
  注意を要するのは、「職務・成果」の概念です。私はかなり広義に考えています。たとえば【インプット要素】として、職務遂行能力、仕事への意欲、姿勢、態度。【プロセス要素】として、職務価値、ジョブサイズ、役割の大きさ、責任の重さ。【アウトプット要素】として、仕事の出来ばえ、業績、課題や目標の達成度など。
  企業が期待する職務レベルと行動基準をあらかじめ従業員に提示し、それに基づいて評価するのがフェアーで納得できる方法です。

ページトップ