短時間勤務・父親の育休
Q. 厚生労働省の調査によると、子育て期の女性社員の23.8%が短時間勤務を希望し、実際の利用者10.7%を上回っているとか。男性の育児休業取得率はわずか1.23%で、女性の90.6%を大幅に下回っています。こうした状況を改善するために、改正育児・介護休業法が6月30日に施行されるそうですが、その内容をご教示ください。 |
A. 仕事と子育ての両立支援策を充実させることを目的とした法改正のポイントは、大きく2つに分けられます。1つは、子育て期間中の働き方の見直し。短時間勤務制度と残業免除が義務化されます。もう1つが、男性の育児休業をとりやすくすること。仕事と家庭が両立しやすい職場づくりは、企業にとっても優秀な人材確保につながる喫緊の課題です。 |
◆短時間勤務制度・残業免除の義務化
まずは、短時間勤務制度の義務化。この6月末から従業員101人以上の企業に、3歳未満の子をもつ従業員向けの短時間勤務制度が義務づけされます。従来は、いくつかの選択肢の1つにすぎなかった制度が、義務化されたのです。
短時間勤務制度は、少なくとも「1日6時間」の短時間勤務を含むものでなければなりません。ですから、1日の所定労働時間を7時間としたり、隔日勤務等を併用させ、従業員の選択とすることも可能になります。
また雇用期間が1年未満の従業員や1週間の所定労働日数が2日以下の従業員等については、労使協定により適用除外とすることができます。
つぎに、残業の免除。3歳未満の子をもつ従業員は、請求すれば残業(所定外労働)が免除されます。これも、改正前は、選択的措置義務の1つにすぎなかったものが、今般義務化されたのです。
企業としては、顧客対応を要する営業職や総合職も利用できる仕組みづくりが課題となります。会社全体で生産性を上げ、本人も成長できる環境整備が求められているのです。
ただし、平成22年6月30日時点で、常時100人以下の従業員を雇用する企業については、平成24年6月30日(予定)までの間、改正規定の適用が猶予され、改正前の規定が適用されることになります。
◆父親の育児休業の取得促進
男性の育児休業についても、これまでよりはとりやすくなりました。
その1は、父母ともに育児休業を取得する場合の休業可能期間の延長。従来は子が1歳になるまでの1年間でしたが、父親と母親の両方が取得すると、1歳2ヵ月まで延ばすことができます。母親が育児休業を取得して職場復帰をした大変な時期に、父親が協力して子育てができるようになります。
その2は、出産後8週間以内の父親の育児休業取得の促進。父親は生後8週間以内に1度取得していれば、期間内であれば職場復帰後にもう一度取得することができます。従来は配偶者が亡くなるといった特別の事情がない限り、再度の取得はできなかったのです。生後8週間で妻が育児で大変な時期に父親が育休を取りやすくするもの。
その3は、労使協定による専業主婦除外規定の廃止。改正前は、労使協定を定めることにより、配偶者が専業主婦や育児休業中である場合等の従業員からの育児休業申出を拒める制度となっていました。改正後はこれを廃止し、すべての従業員が育児休業を取得できます。妻と同じ時期に育休をとることにより、家事に不慣れな男性が妻から教えてもらうこともできるのです。
なお、育児休業を取得している期間中は、被保険者負担分と事業主負担分の健康保険料および厚生年金保険料ともに免除を受けることができますので、手続きを忘れないようにしましょう。
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